中学1年生のポスター発表より
中1:ポスター発表
毎年、中学1年生では、理科の取り組みとして「身近な植物」をテーマにレポートを作成しています。
生徒たちは夏休み中に観察や調査を行い、その成果を A4・1枚のポスター にまとめました。現在、写真のように、理科実験室前の廊下に掲示されています。
今回も、理科の先生から 5枚のシール を受取り、気になった作品を5点選出してみました。
たくさんのポスターの中から選ばれるためには、まず人目を引く工夫が大切ですね。やはり、鉛筆のみで描かれたものよりも、色づかいがある作品の方が目にとまりやすいです。
1.身近な体験から
1つ目に紹介するレポートは、動機にオリジナリティがあり、目を引いた作品です。
臨海学校で見た海の光景から、「海岸には植物が少ない」という自身の体験を出発点に、塩分濃度の異なる環境で植物を育てるとどうなるのかを実際に検証していました。
何気ない観察をきっかけにして、新しい疑問や発見へとつなげていく姿勢は、とても大切な視点だと感じました。
2.テーマの独自性
2つ目に紹介するレポートは、「種子植物とシダ植物」の違いについて、実験を交えながら観察した作品です。
これまでにもさまざまなレポートを見てきましたが、この視点を取り上げたものは初めてで、オリジナリティを感じました。
考察では、種子植物の方が発芽しやすい理由について、自分なりの明確な見解が書かれており、理解の深さがよく伝わってきました。
見た目もカラフルで、作品全体が読みたくなるような工夫がされていた点も印象的でした。
3.地道な観察
3つ目に紹介するレポートは、さまざまな植物を丁寧に観察し、その特徴をまとめ上げた作品です。
動植物の観察では、どれだけ根気強く向き合えるかが大切ですが、その姿勢が作品全体からよく伝わってきました。
多くの植物を比べることで、違いだけでなく共通点にも気づいていく──これは理科の基本ともいえる視点です。
写真も添えられており、内容がすっきりと理解しやすい構成になっていた点も印象的でした。
4.独創的な条件での実験
4つ目に紹介するレポートは、多くの生徒が題材に選ぶ「食虫植物」に関するものですが、これまであまり見られなかった条件で観察している点が印象的でした。
特に、食虫植物の中に「小石」を入れてみるという発想はユニークで、「アリ」を入れる場合とは異なる視点が感じられました。
結果として石が小さくなるという現象にも興味を引かれ、どのような石だったのか、なぜそのような変化が起きたのかを探っていけば、さらに探究が深まりそうだと感じました。
5.物理実験のような観察
最後に紹介するレポートは、植物の種子がどのようにして遠くまで広がっていくのかを、実験によって確かめた作品です。
植物が生息範囲を広げる方法の一つとして、種子をいかに遠くまで運ぶかという仕組みがありますが、進化の過程でその方法も多様に発達してきました。
このレポートでは、身近なタンポポの種子に注目し、条件を変えながらどれくらい飛ぶのかをデータとして集めています。
自ら条件を設定し、その違いを比較していく姿勢は、まさに科学実験の基本であり、探究心の高さが伝わってきました。
このような経験を積み重ねていくことで、少しずつ科学的なものの見方や考え方が身についていくのだと思います。
生徒一人ひとりが、身近な自然に目を向け、疑問を抱き、試し、確かめ、まとめていく、その積み重ねが、未来の科学者たちを育てる基盤になります。
これからも、生徒たちが探究心をもって学びを広げていってくれることを期待しています。