校長あいさつ
校長 岩本正

自分を様々な手段を用いて「表現」すること
自分の置かれた場所で、自己の能力を最大限に活用して社会に貢献できる人材、そんなリーダーの育成を目指しています。
創立以来「社会に有為な人材を育成する」という建学の精神が受け継がれてまいりました。成城が目指す生徒像は校章「三光星」が象徴している「知・仁・勇」を備えた男子リーダーです。
知 深い読みのできること
仁 相手の立場に立って考えられること
勇 勇気を持って決断できること
伝統を礎に、さらなる革新へ ~受け継がれる伝統・時流を捉えた変革~
受け継がれる伝統
本校は、今年で創立140年を迎えました。明治18(1885)年1月に創立された「文武講習館」の校名の流れを汲み、校風には今なお文武両道主義が生きています。また、「成城学校」の校名の由来にある「哲夫成城」の「哲夫」とは、国家に貢献する「知徳に優れた男子」のことです。それは、「知・仁・勇」という3つの徳を備えた人間であり、生徒によってデザインされた校章「三光星」が、その象徴として受け継がれています。
文武両道主義のもと、生徒たちは日常の学習と部活動、生徒会活動などとの両立を目指しています。学内で行われる学校行事や生徒会活動、部活動では様々な異年齢の集団活動があり、それぞれの場面において、リーダーシップを発揮する機会となっているのです。このような教育の機会は古くから見られ、大正14(1925)年から続いている臨海学校はその代表的な行事の1つです。
中学1年生を対象にして行われる臨海学校は、教員のほか、選抜された高校2年生の補助員が参加して、安全に配慮をしています。補助員となった高校生は、責任と誇りをもって中学1年生を指導しつつ、リーダーシップとは何かを学びます。逆に、中学1年生にとっては、高校生は憧れの存在であり、ロールモデルとなっているのです。
また、学内で行われる文化祭も、生徒にとって大切な教育の機会となっています。例年来場者がのべ約1万人にもなるこの行事では、文化祭実行委員会が各団体をとりまとめ、委員全員がリーダーとしての自覚を持って運営しています。このような校風が代々生徒に受け継がれ、リーダーとしての素養を身につけていくのです。
特有な校風の中で、行動指針として継承されているのが、校訓「自学自習」「質実剛健」「敬愛親和」「自治自律」です。学習面では、特に「自学自習」が重視され、校歌や古くから伝わる「学習十五則」にもうたわれ、大正時代にはこの方針の下に「自修館」という図書室兼自習室が設置されました。現在の自修館は、生徒をサポートするチューターが常駐して、18時30分まで開館しています。「常に自ら学習する習慣を作るは既に得たる知識よりも、其価値遙に大なり」(学習十五則)の教えを具現化する場ともいえます。
時流を捉えた変革
昨今、情報技術の様々な変革が起こり、驚くようなスピードで社会が変わりつつあります。生成AIといった人工知能に問いを投げかければ、時間や労力をかけることなく、世界で起こっていることについて、あたかも完璧な情報を得ることができるような気になります。しかし、その情報は本当に信じていいものでしょうか。いかに技術が発達したとしても、その情報が正しいのかを見極めるためには、確かな学力と、人と人の対面による会話、実際に足を運んで自分の目で確かめることが大切であることは変わりません。自分の中に湧き出てくる疑問を解決するためには、対話したり、実際にやってみたりと、本物に触れる実体験こそが重要です。
本校では、生徒がグローバル社会で身につけるべき力は何かという視点に立ち、様々な研修を立ち上げています。夏休みに学校内で行われる「Global Studies Program」では、多様な文化や価値観を有する国外出身の大学の学生たちと、英語をツールとしたコミュニケーションを通して、議論、企画、発表する力を養いつつ、最終的には一人ひとりの自己確立を目指します。また、実際に海外で様々な経験ができるよう、オーストラリア、台湾、カンボジアでの研修を実施しています。これらの取り組みは、生徒の個性と能力を伸ばすための機会として提供されていて、様々な人々と対話することで自分を見つめ直すことにつながります。
また、ICT機器の活用により、生徒自身が主体的に情報を集めたり、自分自身の考えを整理したりして、様々な人に発信できるようになりました。自らのことを表現する機会の増加は、「自治自律」への確かな足がかりとなります。
伝統校のよさ、男子校のよさ、中高一貫校のよさをいかしながら、これからの時代を逞しく生きるための人間力(知・仁・勇)を育成する学校を目指しています。何でもやってみたくなる知的好奇心の強い男子、素直で元気な男子を成城は待っています。
プロフィール
1995年3月 筑波大学大学院修了
1997年4月 成城中学校・高等学校に理科教諭として着任
2021年4月 同校 教務主任、教頭を経て 校長 就任