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帝京大山﨑教授講演会

ご自分が撮られた写真をもとにお話しされました

ご自分が撮られた写真をもとにお話しされました

 

11月17日(土)、教育講演会を開催しました。講師には帝京大学教授で本校卒業生の山﨑直也先生をお迎えし、「台湾=美食の固定観念を超えて 写真で深める台湾理解 」という題でお話しいただきました。生徒、保護者約100名が聴講しました。

 

山﨑先生は平成5年に成城高校を卒業、東京外国語大学・同大学院で学び、秋田の国際教養大学で10年間教鞭を執られたのち帝京大学に着任、現在は外国語学部教授を務めておられます。専門は戦後台湾の教育に関する研究で、近著に『台湾を知るための60章』(共著、明石書店、2016年)などのご著書があります。本年9月より台湾修学旅行研究者ネットワークを立ち上げ、本校の台湾研修にも指導・助言いただいています。

 

山﨑先生は、講演冒頭、統計データを用いたクイズで、日台のヒト・モノの交流がいかに盛んであり、結び付きが強いかを確認しました。続いて、〝台湾グルメ〟として何がイメージされるか、へと話題を転じました。会場からは、小籠包、牛肉麺、タピオカミルクティー、マンゴーカキ氷などがあげられました。

 

統計データを用い日台の繋がりを確認

統計データを用い日台の繋がりを確認

 

山﨑先生によると、例えば、小籠包の代表的なブランドである鼎泰豊は、1972年に油商から転業、1993年に『The New York Times』紙上で世界の10大レストランに選ばれたことで大ブレイクを果たし、1996年には新規開店のタカシマヤタイムズスクエアに初の海外支店をオープン、現在は世界各国に支店を展開するグローバル企業になっているとのこと。しかし、小籠包はもともと上海の名菜であり、一般に「台湾らしさ」「台湾を代表する」と思われている文物のなかには、このように、第二次大戦後、中には2000年代以降に起源や端緒を持つものが多いことを、さまざまな具体例とともに説明されました。

 

そのうえで、オランダ東インド会社→鄭成功一族→清朝→日本→中華民国と、外部から現れる為政者の絶えざる興亡がもたらす台湾400年の歴史の重層性を知るためには、台北など北部だけではなく、南部、特にかつて行政・文化の中心であった台南に行くのがよいと話されました。

 

台湾史の重層性に関するご説明

台湾史の重層性に関するご説明

 

また、日本人のあいだには、台湾は「親日的」というイメージが流布していますが、それは一面的なとらえ方であり気をつけねばならないということを、『KANO 1931 海の向こうの甲子園』(2014)、『セデック・バレ』(2011)の2本の映画を対比しつつ述べられました。

 

山﨑先生のご講演は、われわれの台湾に対するイメージを、「美食」「親日的」という切り口から相対化するものでした。お話は、豊富な写真やデータ、実例にもとづき非常に説得力がありました。一方で、随所にユーモアがちりばめられ、会場はしばしば大きな笑いに包まれました。2時間に及ぶ講演は、まさにあっという間でした。講演終了後、多くの保護者の方や生徒諸君が、名刺交換や質疑応答のため山﨑先生の前に行列していたのは、講演が大成功だったことを物語る光景でした。

 

山﨑先生、ご多用中にも関わらずお越しくださり、誠にありがとうございました。心より感謝申し上げます。