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中3:つくばScience Edge 2019参加

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3月22日(金)と23日(土)にかけて行われた「つくば Science Edge 2019(つくばサイエンスアイデアコンテスト)」に、中3生徒の栗田君と関口君が参加してきました。

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「つくばScience Edge」は、「未来の科学者」の芽を発掘し、育てる、試みです。科学に関するアイデアを世界的レベルの研究者・科学者の前でプレゼンテーションし、その方々とディスカッションします。 発表する会場は、世界中の科学者による学会も開催される「つくば国際会議場」です。

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参加した生徒2名は、全国の中高生と活発に意見を交わし、良い経験になったようです。次の探究活動へとつなげる良いモチベーションになったようでした。以下に彼らの研究の概要を記します。

快適な睡眠と音楽の関係性
~入眠障害を持つ現代人に最も適した睡眠導入音楽はなにか~
 背 景  現代、入眠障害は社会問題化している。睡眠導入音楽として、様々な音楽が販売されているが、どのような効果があり、どのように人を入眠させるのか、その研究はまだ十分ではない。
 目 的  本研究では、昨今話題となる睡眠導入音楽ならびに他のα波が出やすい音楽を用いて実験すると共に、既往研究の調査を行うことで、音楽の睡眠に与える基本的な影響ならびに、睡眠に良い効果を与える音楽を明らかにすることを目的とする。
 研究計画  覚醒状態の脳がリラックスするまでには、約1時間かかる。そこで、本研究では就寝後1時間、音楽を流した。データの共通化のため、睡眠時間・室温は一定にし、同一音楽の実験は2回ずつ行った。被験者は1名を対象にし、睡眠時にカメラを設置し後日確認を行った。
 研究結果  「寝返り数」「途中起きた数」「いびきの有無」「被験者の睡眠後の感想」の4つの記録項目より、最も優れた入眠効果を得られたのは、「瞑想音楽」と「自然&ピアノ音楽」であった。リラクゼーション効果をもたらすことを目的とされた音楽の効果は高く、逆にクラシック音楽は低かった。 入眠効果の高かった音楽の共通点をまとめると、1.α波を出しやすい音楽である。2.睡眠導入を目的として作曲されている。3.テンポの遅い曲である。4.ピアノ音がふくまれている。5.自然を感じるような表現がある。という点であった。
 展 望  眠りにつくのに約1時間かかり、それを苦痛と感じる状態である「入眠障害」を多く持つ現代人に対し、睡眠導入音楽は効果があることを示す結果がでた。「無音」で眠れないと悩む人には是非、自然音が含まれたピアノ音楽を聴いて欲しい。今後は被験者を増やすともに既往研究を進め、有効な導眠手法を明らかにしていきたい。

 

 

フクロウの輸入ペリットの解剖
~フクロウを頂点とする食物連鎖は、なぜ食物網と呼ばれるほど広いのか?~
 背 景  森林生態系は食物網とも呼ばれるほど複雑な食う・食われるの関係を形成している。その複雑さを解明する糸口として、フクロウが吐き出す不消化排出物「ペリット」の内容物に注目し、ペリットの解剖実験を行った。ペリットはアメリカから輸入された野生のものを用いた。
 目 的 ①ペリットの解剖を通じてフクロウの食物網を辿り、仕組みを理解する。
②食う、食われる、の関係を探りまとめる。
仮説:フクロウは森に生息しているので、ネズミやリスの様な森に生息する小動物が多く採集できるのではないか。
 研究計画  輸入ペリットを解剖し、内容物の同定・骨格標本の作成を行った。作成した骨格標本は自分で食性を考察するとともに、上野動物園に持ち込み、インタビュー調査を行った。インタビューで得られたアドバイスに関して、既往研究の文献調査を行い、裏付けをおこなった。
 研究結果  ペリットからはネズミ・トガリネズミが発見された。インタビューの結果、野生のペレットのではない可能性が示唆されたため、文献調査を行った。結果、野生フクロウの食性は幅広いが、場所・季節によってはネズミばかりが観察される場合もあること、アメリカでは幅広くペリットが教育教材として用いられていることがわかった。「食物網」とまで言われる、フクロウの食性の幅広さを確認することができた。米国ではフクロウのペリットの教材としてのニーズが高く、野生ではないものを野生と称して販売するケースがあるのかも知れない。野生か否かは結論付けられず、今後も継続してペリット調査を行う必要がある。
 展 望  日本でも少しずつ生態系の学習教材として、「フクロウのペリット」が認知されていることが既往研究の調査からも明らかになった。今回の知見は、教育教材としてのフクロウのペリットの可能性について、その利点と問題点を調査し、明らかにしたものである。