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防災シンポジウムが開催されました

3月10日(金)午後、小講堂で防災シンポジウムが開催されました。本校は、震災時の新宿区一次避難所となっています。本シンポジウムは、避難所の運営について指導・助言いただいている順天堂大学助教 坪内暁子先生の主催によるものでした。

 

司会の内藤俊夫先生(順天堂大学教授)が、「こうしたリアルな集まりは3年ぶりだ」とおっしゃっていたように、コロナ禍の印象の生々しい時期の開催であり、奇しくも東日本大震災発災日の前日であることから、過去と現在とを照らし合わせ、経験と知見とを未来へ橋渡ししていく場となりました。

 

前半は、注目の防災ベンチャー企業レジリエンスラボ代表取締役CEO沖山雅彦氏、鳥類のコロナウィルス研究の世界的権威大槻公一氏(鳥取大学名誉教授)の講演、坪内先生の研究報告が行われました。

 

沖山氏は、日本の災害を包括的に説明したうえで、企業のBCP(Business continuity plan:事業継続計画)という概念を紹介されました。大槻先生は、半世紀前に鶏について行ったコロナウイルスに関する研究が、現在のコロナ禍を考えるうえで参照すべき知見になるのではないかという話を披露されました。坪内先生の報告は、約10年に及ぶ成城地域での取り組みを総括的に振り返るものでした。

後半は、パネルディスカッションが行われました。パネリストは、地域の顔役で本校と親しくお付き合いくださっている佐藤元昭氏と中村功氏、「学校防災を考える会」の亀井健氏(東京音大付属高校)と菊地明範氏(中央大学杉並高校)、そして、本校地理研究部の秋山義興君と宮下蒼大君、顧問の村田裕先生で、司会は医療創生大学の奈良武司教授が務められました。

 

佐藤氏は、発災時の初期対応の難しさを思い描くべきだということ、中村氏は、自助の大切さと日頃からできる取り組みについて、それぞれ本質を突いた意見を述べられました。亀井先生と菊地先生は、防災についての私立学校特有の難しさと可能性について、先進的で意欲的な実践を交えて報告されました。秋山君と宮下君は、地域の方々との街歩きの体験をもとに、大人顔負けの冷静で客観的な考察や分析を加えていました。村田先生は出張先からオンラインでの参加でしたが、東日本大震災時の自身の経験を織り交ぜ、学校防災の難しい局面にも推測をこらしていました。

最後の全体講評では、人間総合科学大学の丸井英二教授が、「人と人との信頼関係が防災の基本である」と述べられました。登壇者も聴衆も深くうなずいていました。

 

コロナ禍の終息し切っていないなか、このような意義深いシンポジウムが開催され、活発に発表や議論が展開されたこと自体、人と人との信頼関係なしにはできないことです。本校では、今後とも、地域のみなさまや企業、研究者の方々とのお付き合いを大切にし、多くを学ばせていただきながら、災害への備えを充実させていきたいと考えています。

 

ご来校・ご参加くださったみなさま、ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

※東京新聞様にご許可いただき、同紙Web版に掲載された本シンポジウムの記事のURLを貼り付けさせていただきます。

 

新宿の成城中高で防災シンポジウム 都内の私立校で珍しい避難所指定 「まち歩き」で地域とつながり:東京新聞 TOKYO Web (tokyo-np.co.jp)