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校長だより

好奇心から繋がる

10月下旬のある日、神田外語大学の学長と会って話す機会がありました。商社マンから学長になったという面白い方でした。グローバル教育の話で盛り上がり、長々と話が続きました。中東駐在のご経験が長かったとのことで、『イスラームから見た「世界史」』を紹介されました。この本の翻訳者は高校時代の親友です。そこで「この翻訳をされたのは、高校時代の同級生で山岳部の仲間です。会うたびに、誇りに思う友人の一人ですよ。」と申し上げたところ、彼は、「えっ!!この人の日本語は凄いんだよ!!」とべた褒めしてくれ、私まで嬉しくなりました。10月は「アカデミック」な出会いがたくさんありました。

1.本校初企画【東大オープンラボ】

10月1日(火)都民の日を活用して、【成城生のための東大オープンラボ】を実施しました。成城高校1年、2年の希望生徒を対象に、東大や大学の魅力、活動内容の理解を促す目的です。自身の進路について深く考えるきっかけとなることを期待しての試みで、工学部の酒井康行研究室と古川克子研究室のご協力で実現しました。

まずは、工学部2号館に入りました。東大オープンラボ0

講義室での趣旨説明と東大紹介で始まりました。

東大オープンラボ1

続いて、成城高校卒業生で東大4年生の三枝君による学生生活の紹介。彼は自修館チューターの経験者です。本校が発行している「大学進学のための参考資料」に彼の勉強法が掲載されているほど、成城生の手本となっている学生です。

もう一人、プレゼンしてくれたのは、小石川中等教育学校の4期生で東大4年生の高元君です。彼はとても穏やかな学生で、三枝君と同じ学部に在籍しています。彼による学生生活の紹介は今自分が取り組んでいる「ものづくり」の一端でした。

その後、工学部科学システム工学科の酒井康行研究室で行われる「がん細胞を触ってみよう!」という実験企画と、古川克子研究室でのバイオメカニクスの視点からの実験企画の二手に分かれての体験になりました。

東大オープンラボ2

東大オープンラボ3

どちらの研究室でも、参加生徒たちは時間一杯まで実験を楽しんでいました。最後の集中討論会には、ティーチングアシスタントをしてくれた学生たちも合流しました。「僕の出身高校はちょっと変わっている高校で・・・」と自己紹介した面白そうな学生がいたので、近づいて話してみたら、何と私の母校の出身者でした。「確かに面白かった。私の頃も変わった高校でしたよ・・・」、「今は男子校の女性校長先生ですか・・・」、「こんなところで繋がるとはねぇ!! 頑張ってね。」と、初対面の後輩にエールを送ってしまいました。

東大オープンラボ4

工学と生命科学の境界領域にある学問が融合する研究という点が面白く、 既存の工学部のイメージのまま、何故工学部でがん細胞の実験なのだろう、と思っていた不思議が解けました。盛りだくさんの内容で、あっという間に4時間以上が過ぎました。楽しい出会いに溢れ、後輩や教え子たちの頑張る姿にワクワクしながら帰路に着きました。

その翌日、前任校の当時の先生方と情報交換しました。そういえば、高元君は、生物にも物理にも興味を持っていて、どちらで受験するか迷っていた生徒だったね、結局その両方にかかわる分野に今近づいているんだね、・・・。何でも好きなところから始めればいい。そして夢中になって進んでいくと、「自分らしい道」にいつか辿りついていく、のですよ。「知的好奇心の趣くままに自分が選ぶこと」が大切。成城生たちの成長をじっと待ちましょう!

今後もこのような企画を多方面に広げて、生徒の興味関心を高めていきたいと思っています。東京大学の皆さん、そして本校進学指導の有阪先生、ご尽力に心より感謝しています。ありがとうございました。

2.台風19号と中学運動会

台風19号の接近と鉄道各社の計画運休の発表を踏まえて、10月12日は臨時休校となりました。それに伴って10月13日に予定されていた中学運動会は10月14日に延期されました。中学運動会3

13日は晴れていましたが、鉄道運休の影響が残っていたので運動会実施は困難だったでしょう。したがって14日に延期したことは正解だったと思います。当日は、教員と体育祭実行委員が7時30分に集合して準備に取り組み、予定通り9時に開始できました。しかし昼前頃から雨が降りはじめ、残念でしたが午前で終了しました。プログラムを変更して、午後に予定されていた中学3年生の「組体操」は、午前の最後に実施しました。中学最後の運動会に、1学期から取り組んできた成城伝統の組体操を、雨の中で見事にやってのけ、拍手喝采の中で今年の運動会は終了しました。

私は会議があって見られなかったのですが、中学2年生の団体種目は、10/16(水)のLHRの時間に実施したそうです。保護者の方にも参観していただけたとのことでした。

自然現象ですので何ともいえませんが、少し悔しい運動会になったと思います。

3.幼稚園の運動会と池袋相談会

10月20日(日)は牛込成城幼稚園の運動会でした。雨の後だったため、グラウンドではなく体育館での実施となりました。が、園児にとってはとても大きな体育館ですので、楽しく伸び伸びと、かつ、真剣な様子が窺えました。幼稚園体操2

年長すみれ組の「体操」は成城幼稚園の伝統で、素晴らしい出来栄えでした。幼稚園体操

幼稚園体操3

今年から幼稚園の運動会は午前中の実施となりました。そこで私は午後から、池袋サンシャインシティで行われた、私学中高協会主催「進学相談会」に出向きました。

サンシャインシティの会場では多くの来場者の皆様とお話ができました。中には質問事項をしっかりメモして相談に来てくださったり、本校の保護者の方も立ち寄ってくださり、普段の説明会とは違った充実した相談会となりました。受験生のみなさん、待っていますよ!!

4.日本学生科学賞

中3「理科2」と、高1「生物基礎」の授業を通して探究的活動に取り組んでいます。夏休み後に提出された研究成果を学内で審査し、選ばれた11編を日本学生科学賞に提出しました。結果として「物理」分野で、中学3年西村典真君が、日本学生科学賞・東京都大会の奨励賞を受賞しました。論文のテーマは、「自転車による携帯電話充電実験」~ハブダイナモを用いて災害用自家製充電器を開発する~です。興味をひかれる内容です。詳しくは、リンクを貼ていますので、ホームページの「School Life」をご覧ください。


10月の校長室を振り返ると、表には見えにくい仕事が多かったかなという気がします。でも、あまり見えないところが大事。ふと思い出したことがあります。10月半ばのある朝のことです。正門で私に声をかけてくれた男性がいました。「先生。ずいぶん生徒が挨拶するようになったね。」「私の祖父は成城の教師だった。国を守る人を作る学校だったんだよ。まずは挨拶だ。挨拶は生徒からできなくちゃだめだ。」「期待しているよ。このあたりでは成城がよくなっているって言われているから、頑張ってくださいよ。」こう言って立ち去りました。

令和1年10月31日 校長 栗原卯田子