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校長だより

みんなで乗り切りましょう!!

新型コロナウィルスの拡散防止に向けて、東京都知事をはじめ首都圏の知事たちが週末の3月27日、28日の外出を自粛するよう呼びかけをしました。27日は気温が25度に上がり、桜や春の花が満開の中、28日は雪が降りました。私たちは今、気温も含めて急激な変化に身を置いているといえる状況です。

桜正門の

校門の桜は生徒が見ないうちに散ってしまい、若葉が出始めました。今月の校長室だよりでは、コロナウィルスの対応状況や、出来事をいくつかお伝えしようと思います。

1.3月2日より休校

新型コロナウィルス感染を予防するための措置として3月2日より休校にしました。生徒、教職員の健康を守ることを第一に、行事を必要最低限に縮小するという方針を立て、3月考査と中学卒業式を中止しました。また、中学修学旅行は延期、高校修学旅行は中止としたため3月は、生徒の顔をほとんど見ることのないひと月となりました。

休校により時間を持て余しストレスを感じたり、友人と都心に集まるなど、危機感のない行動をとる若者の姿が報道されるのを見て、部活動のない生活で、フラストレーションや家庭内トラブルなどが起きていないか、心配する教員の声も聞こえました。今はみんなで困難を乗り切るとき。生徒一人ひとりが「感染拡大防止」という目的を押えてしっかり行動してほしいと思います。

 2.卒業式

中学では卒業式の式典を中止しました。中高一貫教育であるため、中学3年生は高校入学式も想定しての中止です。実際には、生徒は自分の教室に入り放送で教頭による学事報告を聞きました。続いて私が式辞を読み上げ、放送のあと担任の先生から証書を渡してもらいました。

高校の卒業式は、本校体育館(バレーボールコートが4面取れる広さ)で扉や窓を開放したまま、間隔をあけて卒業生の椅子を並べ、教員のみ(来賓、保護者なし)の参列で厳粛に実施しました。式次第は「校長式辞」と「卒業生の言葉」のみに縮小し、卒業生は全員マスクを着用という異例の式典風景でした。知・仁・勇を指針に生きよと伝えた式辞に、生徒会長の越智君による卒業生の言葉がぴったりと答えてくれて、簡素でしたが清々しい式典でした。

卒業生代表の言葉

卒業生代表の言葉

卒業生には「大好きな成城を去る日」であり、たぶん物足りなさを感じたことでしょう。私自身は高校紛争の世代で卒業式がありませんでしたので、今回実施できてよかったというのが実感です。

式後卒業生はいつものように互いに別れを惜しんでいました。また、保護者の皆様には、即日動画を配信しました。

3.修了式

3月21日に中学1年と2年、高校1年と2年の二回に分けて放送で式辞を述べました。

生徒の顔が見えない状態で話をするのは、一方的で、私は好きではありません。でも健康と安全を守るためには仕方がないことと割り切って放送で実施しました。その後、各教室で答案返却、各種表彰状、通知表、宿題などが配布されクラスメイトに別れを告げ、クラス解散。進級して新学期にまた会いましょう!!

4.今年度最後の職員会議

修了式の後、年度最後の職員会議をしました。退職される方々からご挨拶を頂いて、お昼を一緒にして別れを惜しみました。その後は新学年体制に職員室を移動し、新年度の準備に入りました。

部活動はこの日から再開を予定していましたが、感染者増加の状況から全面中止にしました。状況を見て判断しますが、3月末現在、再開のめどは立っていません。

5.成城生に思うこと

成城高校の卒業式のあと、クラスのホームルームが終わると、職員室に生徒たちがやってきました。大学入試の結果を報告しにきた生徒たちが多かったです。卒業生の中には、自分が何故この分野に進むことにしたか、そのきっかけや思いを語ってくれた生徒もいました。中学3回入試を実施して初めての卒業生で、私の中にも思いが募ります。

卒業式の数日後、今度は浪人した生徒が、それぞれ別々に校長室にやってきました。その中の印象的な二人を紹介します。一人は、予備校に行かず、自宅で勉強を続けた生徒です。彼は同じ学年の浪人していた成城生と一緒に互いをペースメーカーとして計画を立て、自分に何が足りなかったのかを押さえて、計画的に勉強したそうです。結果として私立の難関大学に合格しました。また、成城の「自学自習」が実践できたとも語ってくれました。こういう学生に後輩の面倒を見てほしいと思いました。チューターをお願いしてみようと思います。

もう一人は、予備校に通い頑張った生徒です。彼は、高校在学時理系クラスにいて、何故か成績が伸びずに苦労していた生徒です。卒業後に、自分の進路を真剣に考えて医師を目指す決心をしたそうです。自分の力に合わせて予備校の中の一番低いレベルの医コースからスタート。だんだんとコツを覚えて、今年何と私大医学部医学科の合格を二校勝ち取りました。高校3年の時には選べなかった進路ですが、これからしっかりと進んでいくことを約束してくれました。「成城で学んでよかった」という言葉に、嬉しくて涙が出そうでした。保護者の方からは改めて、「校長先生はいつも『待つ』と仰ってくれましたが、やはり待たないとダメでしたね。」と伝えていただきました。親にとって、子育ては幾つになっても大変です。ご苦労され心配されての言葉であると、重く受け止めました。

最後は留学中の生徒からです。留学先の学校が休校で、オンライン授業が配信されているそうです。彼は、正確なニュースをいち早くキャッチするために、BBCニュース、ローカルニュース、日本のニュースを欠かさずに読む様にしているとのこと。さらに、こんな世界規模の混乱を海外で経験できることは2度とないことだと、彼は残留を決め、半年経った留学生活を継続することを伝えてきた便りでした。頑張れ!!成城生!!

今年度最後の校長室だよりです。世界中がこれまで経験したことのない、困難で先の見えない状況の中、まさに「知と仁と勇」をもって乗り越える時代だと思います。来年度もまた「校長室だより」でお目にかかりましょう。

お読みいただき、ありがとうございました。

令和2年3月31日 校長 栗原卯田子