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台湾講座開催しました

3月14日(月)、SNET台湾(日本台湾教育支援研究者ネットワーク)から講師の先生を三名お招きし、台湾講座を開催しました。中学一年生から高校三年生まで全ての学年の生徒が参加し、約50名参加しました。

本校は、2017年より本校オリジナルの台湾グローバルリーダー研修(以下、台湾研修)を行なっています。しかし、昨今の状況により、二年連続で開催の見送りを余儀なくされています。

「成城と台湾とのつながりを絶やさない」――そうした思いのもと、台湾講座を開催することとなりました。

 

講演に先立ち、台湾研修に参加した高校三年生二名から、成城の台湾研修についてのプレゼンテーションがありました。今年の三月に卒業する高校三年生が唯一台湾研修に参加した学年です。つまり、今年の四月から、台湾研修に参加したことがある生徒が0になってしまうという危機的状況にいます。

そんな状況でしたが、二人には、「自分が感じた台湾」について思う存分語ってもらいました。先輩二人のアツいプレゼンテーションを聞き、「成城の台湾研修はこんな感じなんだ」「機会があったら是非参加したい」と多くの後輩が思ったことでしょう。

 

講演でまずお話いただいたのは、赤松美和子先生(大妻女子大学)です。赤松先生から、台湾の生活や文化、日本で話題のオードリー・タンなどについてお話を伺いました。Googleクラスルームにて、事前に「台湾について知りたいこと、興味があること」についてのアンケートを実施し、その結果を講師の先生方にお伝えしていたので、本校の生徒の質問に答えていただく形で、講演していただきました。

台湾のグルメの多様性・多文化性について、台湾の朝ごはんの摂り方、昼食時、フードパンダが校門の前に並ぶなど台湾の高校生の昼食事情についてのお話があり、まさに「食い入る」ように話を聴く生徒が多かったです。台湾には興味があるものの、あまり知識がない生徒にとっては、馴染みやすい話題をご提供いただきました。また、日本とのかかわりを意識した内容をお話いただいたので、日本を相対化しながら生徒は理解できたと思います。

次にお話いただいたのは、洪郁如先生(一橋大学)です。台湾ご出身の洪先生には、台湾の歴史や日本統治下の台湾、歴史「認識」の問題を扱っていただきました。また事前アンケートの回答にもあったウクライナ情勢の台湾での受け止め方についても解説いただきました。

理解するのがなかなか難しい内容でしたが、中学・高校の歴史の授業などを例にしながらご説明いただいたので、中学生・高校生の「日常」から生徒たちは理解することができたと思います。そして、台湾の一部分のみを切り取って、あたかも「台湾全体」を議論している日本の現状についてもお話いただきました。

「台湾=親日」というイメージ。一面としては間違っていないものの、この固まったイメージからいかに一歩踏み出すか――本校にも大いにかかわっていくべき課題だと思います。

最後にお話いただいたのは、山﨑直也先生(帝京大学)です。山﨑先生は本校のOBでもあります。山﨑先生からは、台湾の教育や(若者の)政治文化についてご講演いただきました。冒頭、日本でも多くの店舗がある小籠包店・鼎泰豊(ディンタイフォン)が話題となり、そこから「グルメ」が意味する内容の変化についてのお話となり、赤松先生からご紹介いただいた、台湾の食文化の多様性と連関していきました。言葉の意味は不変であると思っている中学生・高校生にとっては、目から鱗が落ちる気分だったと思います。

その後、台湾の教育について紹介いただきました。台湾の教育内容が台湾の歴史と密接にリンクしていく様子を紹介いただき、「日本の教育ではどうか」という新たな視点を養っていただきました。

三名の先生方からお話をいただいた後、本校の生徒から質問する時間となりました。台湾の原住民について、日本の若者の政治文化、講師の先生方がなぜ台湾研究を志したか、外国語を学習することについてなどの質問が出ました。また、SNET台湾(日本台湾教育支援研究者ネットワーク)のホームページに公開されている台湾に関する動画をご紹介いただきました。予定時間を過ぎてまで活発なやり取りとなりました。

 

今回の台湾講座の様子を見ると、本校における台湾に対する関心の高さが窺えました。二年連続台湾研修が開催できていない状況ですが、「成城と台湾とのつながり」が本校にはあることを確認することができました。

そして、現地に足を運べない今だからこそ、学びを深めることが重要だと強く実感した講座となりました。現地に足を運んだ時、最高に充実した台湾研修となるには、今の学びが重要となります。台湾講座に限らず、こういう状況下だからこそ、本校の生徒には、学びを深めていってほしいと思います。

 

以上のように、とても充実した講座になったのは、三名の先生方のご講演があったからこそです。改めまして、赤松先生・洪先生・山﨑先生、まことにありがとうございました!

今後も、「成城と台湾とのつながりを絶やさない」、「成城と台湾とのつながりをさらに強いものにする」ことをしていきたいと思います。